コバルト こばると
コバルトとはどのような物質?
コバルトは1935年に発見された元素です。コバルトは、人間の体を構成しているミネラルの中で栄養素として不可欠な必須ミネラルの1つです。他のミネラルは単独で働きますが、コバルトは単独では働かず、ビタミンB12を構成する成分として存在しています。
人間の体の中には約1.5mgのコバルトが存在しています。その中ビタミンB12を構成しているのは15%で残りの85%は明確にはわかっていませんが、酵素の構成成分になっているのではないかと考えられています。
コバルトが持つ働きのほとんどがビタミンB12によるものと考えられています。よってコバルトの効果・効能はビタミンB12と同じだといえます。
コバルトの効果・効能は?
コバルトの効果は先ほど書いたようにビタミンB12とほとんど同じです。ここでは、代表的なものを取り上げてみたいと思います。
貧血予防
コバルトはビタミンB12と一緒に働き、赤血球の核酸の生成やヘモグロビンの生成に関わっています。そのためコバルトは悪性貧血の予防に効果的だと言われています。
集中力と記憶力を維持する効果
ビタミンB12は神経を正常に保つ効果があります。コバルトもビタミンB12と一緒に神経を正常に保つ働きを行います。その結果、集中力を高めたり、記憶力を維持したりということにつながります。
コバルトが不足すると?
コバルトは骨髄で血液を作るうえで必要不可欠な栄養素です。赤血球を骨髄で作るとき、必要な栄養素は葉酸とビタミンB12です。コバルトはビタミンB12と同じであるため、コバルトが不足するということはビタミンB12が不足するという事です。そのため、コバルトが不足してしまうと巨赤芽球性貧血や悪性貧血になる可能性があります。また他にも、食欲不振、消化不良、手足のしびれなどを引き起こす可能性があります。
さらに、コバルトには集中力や記憶力を維持する効果があるため、コバルトが不足すると集中力や記憶力が維持できなくなり神経過敏になる可能性もあります。
日常的な食生活を送っていればコバルトが不足するというケースはめったにないため安心してください。
コバルトを過剰に摂取してしまうと?
コバルトは不足することも良くありませんし、過剰に摂取することも良くありません。コバルトを過剰に摂取することを、コバルト過剰症といいますが、コバルト過剰症になると以下の症状が出る可能性があります。
・甲状腺機能低下症
・心不全
・呼吸機能低下症
・血管膨張、血圧低下
コバルトは過剰に摂取しないように気をつける必要があります。
コバルトの目安摂取量は?
コバルトの推奨摂取量は、成人男性で1日2.4㎍、成人女性で1日2.4㎍となっています。また、妊娠中の女性に関しては1日2.8㎍、授乳中の女性に関しては1日3.2㎍の摂取が推奨されています。
コバルトは体内で合成する事ができないため、食事から補う必要があります。食品から摂取したコバルトは腸内細菌によってビタミンB12に合成されます。コバルトが豊富に含まれている食材としては、しじみ、あかがい、あさりなどの貝類や牛レバー、いくらなどがあります。主に貝類に多くコバルトが含まれています。
また、コバルトの吸収を阻害する成分にアルコールやアミノサリチル酸、コレスチラミンなどがあります。これらの成分とコバルトを一緒に摂取すると、体内でコバルトがうまく吸収されず体外に排出されてしまうため注意が必要です。