チアベンダゾール ちあべんだぞーる
用途:防カビ剤
主な使用食品:グレープフルーツ、レモン、オレンジ、バナナ
表示名:TBZ、チアベンダゾール
1978年、アメリカ政府の要求によってチアベンダゾール(以下、TBZ)の使用が認可されました。これは、同国から日本に輸入されるかんきつ類にカビが生えたり、腐敗するのを防ぐためです。
TBZは、広い抗菌スペクトルを示す抗菌剤で、食品添加物のほかに、日本では農薬、動物用医薬品としても広く使用されているため、毒性が強いことで知られていました。
東京都立衛生研究所(現・東京都健康安全研究センター)が、妊娠ラットにTBZをあたえる実験を行ったところ、催奇形性(手足の奇形と尾がない)のあることが認められました。それは、マウスを使った実験でも同様でした。しかし、当時の厚生省(現・厚生労働省)は、この実験結果を受け入れようとせず、今でも使用が認められています。ちなみにアメリカでも、農薬で染色体異常、動物実験で催奇形性などの報告があります。
TBZの防カビ剤としての使用方法は、かんきつ類には、ワックスエマルジョンに混入し、収穫後の果物を浸漬する方法が一般に用いられています。また、バナナには添加した乳化液に浸漬するか、収穫時にスプレーする方法が用いられています。
日本で認められている最大残存量は、かんきつ類0.010g/kg、バナナ(果肉以外)0.0030g/kg、バナナ(果肉)0.0004g/kgです。
TBZは、グレープフルーツ、レモン、オレンジの果皮ばかりでなく、果肉からも見つかっているため、人々の口に入る可能性が高い食品添加物です。スーパーに並ぶ輸入のグレープフルーツ、オレンジ、レモンには、必ずTBZの表記がありますので確認してみてください。特に妊娠中の女性は、TBZの使われたかんきつ類を食べるのはひかえたほうがよさそうです。