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黄金色に輝くミラノ風オーソブッコと伝統料理の再構築

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ミラノで味わう伝統料理オーソブッコ

毎年この時期は、モナコで開催される世界的な学会に参加した後、イタリアを経由して帰国するのが恒例となっています。
しかし、今年はコロナ禍の影響で旅が延期となり、ミラノで味わった懐かしいオーソブッコについて思いを馳せながら記します。

20年以上にわたり毎年訪れていると、年に一度か二度しか行かなくても、やはり行きつけや馴染みのレストランが生まれます。そうした落ち着くお店とは別に、新しい驚きを与えてくれるレストランを訪ねることも旅の醍醐味の一つです。

ミラノ風の伝統と黄金色へのこだわり

イタリアの伝統料理には「〇〇風」と地方名がつくことが多く、伝統へのこだわりと土地へのプライドが強く感じられます。ミラノの場合は、ファッションだけでなく金融の街であることから、サフランのリゾットやコトレッタ(仔牛のカツレツ)など、「黄金」にあやかって金色に仕上げることを「ミラノ風」と呼ぶそうです。

行きつけの100年以上続く老舗では、仔牛のすね肉を骨髄ごとじっくり煮込み、傍らには黄金色に輝くサフランのリゾットが添えられるという、ボリュームのある伝統料理が、貫禄ある給仕人によって提供されます。

伝統を纏う、革新の一皿

一方、スカラ座の横に位置する有名アパレル「トラサルディ」の上にある超モダンなレストランでいただくオーソブッコは、低温でわずかに火を通した肉に骨髄のエキスと黄金色のサフランソースを添えることで、伝統を見事に再構築した芸術的な一皿です。

ファッションショーに登場しそうな給仕人がサーブし、伝統を踏まえつつも現代人の健康や嗜好に合わせた軽やかな料理を楽しむことができました。

世界中の多くのレストランで、現代人の身体や食生活に合わせて料理を再構築する流れが見受けられます。古くからあるものを大切にしながら、新しい息吹を取り入れた料理を生み出す姿勢は、医師としても料理人としても見習いたいと感じました。

Il Ristorante Trussardi alla Scala
Piazza della Scala 5 – 20121 Milano

 

〔大友“ピエール” 博之〕

日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。

・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
 渋谷セントラルクリニック代表
 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員

・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
 シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ 

 

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