病気と遺伝子 びょうきといでんし

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病気の原因には大きく分けると環境要因と遺伝要因があります。遺伝に関する研究が進み、多くの病気ではこれまで見過ごされがちだった遺伝要因が影響していることがわかってきました。

例えば、風邪などの感染症は、ウイルスや細菌などの環境要因によるものと考えられがちですが、人によって同じウイルスに感染しても、重症化するか、まったく症状の出ない不顕性感染で終わるかなど程度に差が出ます。この差は、それぞれの免疫力という体質、つまり遺伝要因が関与していると考えられます。

ホルモンやビタミン、ミネラルなどが細胞核内の受容体と結合することで遺伝子の発現は起こりますが、この遺伝子の発現にはわずかに個人差があり、この差が遺伝子の応答を変化させます。太りやすい・痩せやすい、血圧が上がりやすい・上がりにくいなど、個人によって体質には違いがありますが、病気が重症化するかどうか=免疫力の程度も、遺伝子のわずかな個人差による影響と考えられるというわけです。

とくに現在、多くの日本人が加齢とともに発症している虚血性心疾患、高血圧、糖尿病、骨粗鬆症、老年期痴呆など成人病あるいは生活習慣病と呼ばれている病気は、すでに環境要因だけでなく遺伝要因も深く関与することが明らかにされています。

病気に関しての人による遺伝子の微妙な差は、病気を克服する薬の分野でも活用が可能です。DNAマイクロアレイでその人の遺伝子を調べると同時に、使用したい薬も調べておけば、その人にとって副作用の少ない薬を選ぶことができます。

とくに抗がん剤などは、服用する人によって効くか効かないか、副作用が大きく出るか・出方が少ないかが大きく変わるため、その人にとって最も効果があり、副作用が少ない薬を選ぶことができるというわけです。

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