タンパク質はどのように吸収されるのか たんぱくしつのきゅうしゅう

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アミノ酸の構造

タンパク質はアミノ酸から生成されるのですが、アミノ酸の基本的な構造は、1個の炭素原子があって、その周りにアミノ基、カルボキシル基、水素が最低でも1個づつつながった形をしています。人のタンパク質を生成しているアミノ酸は1つではなく、20種類以上あります。人間が体内で生成することができず、外部から摂取しなければならないアミノ酸を必須アミノ酸と呼んでいます。必須アミノ酸には9種類ありますが、ロイシン、イソロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、ヒスチジンとなっています。

アミノ酸スコアとは何か

食物のタンパク質の栄養価は、必須アミノ酸の量に左右されます。最も不足している必須アミノ酸(第一制限アミノ酸)の量を基準に定めた量を「アミノ酸価(アミノ酸スコア)」と呼びます。

タンパク質の吸収

タンパク質はアミノ酸が数珠のようにつながっていて、場合によってはらせん状や数珠が折りたたまれたような姿をしています(立体構造)。分かりやすく言うと、隣同士くっつきあったアミノ酸は「ペプチド結合」というつながりでつながっています。しかしそのままの状態ですと分子量が大きすぎて血管に入らないために、ペプチド結合を「切る」ことによって分子量を小さくすることがタンパク質の消化吸収には欠かせません。

胃酸によってアミノ酸の立体構造が変化させられて、さらにペプシン(消化酵素)の作用を受けます。その後、食べ物は十二指腸へ送られ、膵液と混ぜられます。重曹を含む膵液は、胃酸をかけられた食物を中和します。膵液は中性で、消化液の中では1番強力です。トリプシン、キモトリプシン、ペプチダーゼは膵液の一部である消化酵素です。そして空腸に食物は届き、この時点で大半がアミノ酸に分解されています。小腸上皮粘膜から吸収されて、次には血液によって肝臓へ移送されます。アミノ酸は肝臓で化学反応によって、また新しいタンパク質へと生まれ変わります。肝臓は約2000種類の酵素が、瞬時に500種類の化学的な反応を起こすことで、1分間に60万から100万個というタンパク質を生成しています。

アミノ酸は糖質と同様に水溶性ですから、門脈を通って肝臓に運ばれて、そこから全身に運ばれていきます。人はタンパク質を消化管で分解して、アミノ酸の単位にまで分解して再利用します。

ただ、腸内細菌が生成する特殊なペプチドもあり、それらによって人間の抵抗力が活性化するという研究もあります。

以上のように、タンパク質はつねに合成と分解を続けています。食品の姿であったタンパク質が、胃酸や膵液、その他の消化液によってアミノ酸のレベルまで分解され、血液中に入り、また肝臓に戻って、肝臓で新規のタンパク質の生成される原材料となります。

その一方で、既にあった体タンパク質もその後分解されて、その3分の2はアミノ酸に再び姿を変え、残りの3分の1は排泄されます。

人間は、再利用できない残りの3分の1を、食物から摂る必要があると言われています。成人が健康であるためには、タンパク質の摂取する量と、体外へ捨てる量が同じでなければなりません。

アミノ酸とジペプチド

タンパク質は分子量が5000以上もあり、胃のペプシンから、十二指腸を通って膵液まで、多くの消化酵素の力によってオリゴペプチドの姿にまで分解されます。この時は分子量が210個に減少しています。そして次にはオリゴペプチドは腸液(アミノペプチダーゼ、トリペプチダーゼ)によって、アミノ酸や2個のアミノ酸によってできているジペプチドまで分解されます。

アミノ酸やジペプチドは吸収上皮細胞に吸収されますが、ジペプチドはさらにアミノペプチダーゼの力でアミノ酸に分解されます。

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