ATP の生成量とそのエネルギー えいてぃぴーのせいせいりょうとそのえねるぎー

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エネルギーの産生系と効率  

ATPとは「アデノシン三リン酸(Adenosine Trihosphate)」の略で、全ての生き物に共通しているエネルギーです。食事をすることで得られる物質は多くのエネルギーを保存していますが、そのままでは生命維持に利用することができません。体の中で起きている数多くの化学反応を絶えず進行していくためには、使いやすい形に換える必要があります。それがATPです。

ATPはグルコース(糖の最小単位)を出発材料として、様々な反応を経て産生されます。ATPを獲得する時、2つの異なる反応系があります。酸素を多く供給できる環境にいる場合は「細胞呼吸」と呼ばれる反応系を、酸素が少ない環境にいる場合は「発酵」と呼ばれる反応系をたどります。
どちらの場合も、それぞれの反応系の前に、「解糖系」という反応経路をたどります。この時に産生されるATPの数は、酸素の有無に関わらず、《2個》です。

まず、「細胞呼吸」の経路で反応する場合について見ていきましょう。
細胞呼吸はさらに3つの系に分かれています。解糖系の直後から順番に「ピルビン酸酸化」「クエン酸回路」「電子伝達鎖」といいます。それぞれの反応系で産生されるATPの数は、クエン酸回路で《2個》、電子伝達鎖では《28個》です。(ピルビン酸酸化ではATPの産生がありません。)したがって、細胞呼吸の経路で反応する場合、得られるATPの総数は《32個》ということになります。

次に、「発酵」の経路で反応する場合について見ていきましょう。
発酵は、短距離走などの激しい運動を行なっている時に起きています。この反応経路では、ATPの産生が行われず、最終的な産生物は動物の場合は「乳酸」、植物細胞や酵母菌などにおいては「アルコール」です。「無酸素運動をすると、筋肉に乳酸が溜まる」と言われることがありますが、まさにこれは酸素が少ない環境において、細胞が機能するために、発酵の経路で反応しているということです。

2つの反応系を比較すると、得られるATPの数は、細胞呼吸の場合が圧倒的に多いことが分かります。ヒトなどの哺乳類は大きな体を常に一定の温度に保つ必要があるため、莫大なエネルギーを必要とします。このようなエネルギーの要求に応えるためには絶えず酸素の供給が必要であり、わずかでも酸素の供給が減少すると生命維持が危ぶまれるのです。

参考文献

  • 『休み時間の生化学』著:大西正健(講談社)
  • 『カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第1巻 細胞生物学』
  • 著:デイヴィッド・サダヴァ 訳:丸山 敬, 石崎 泰樹 (講談社)

 

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