葉酸 ようさん

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葉酸とは

葉酸は、ビタミンB群の一種で貧血の予防因子として発見された成分です。ほうれん草から発見されたため、ラテン語で葉を意味する「folium」と酸を意味する「acid」から「葉酸(Folic acid)」と名付けられました。葉酸は細胞の新生や、ビタミンB12とともに赤血球の形成や成熟に関わります。その他にも生体の組織を形成し、細胞の発育を正常化することにも欠かせない栄養素です。葉酸は吸収しにくい成分で、食品に含まれている成分の50%ほどしか体内で利用されないため、摂取量の目安もそのことを加味して設定されています。腸内細菌によっても合成され、欠乏することはあまりないといわれています。

葉酸の働き

細胞は、その情報を正確にコピーしながら分裂し増えていきます。葉酸は新たな細胞が合成されるときに、細胞の遺伝子情報をもつDNAの合成に関わる酵素を助ける補酵素として働くという重要な役割を果たしています。葉酸は細胞の産生や再生を助ける働きをし、細胞の分裂や成熟にも大きく関わっていることから、特に細胞増殖が盛んな胎児の健全な発育にとって不可欠な栄養素です。近年、妊娠期の積極的な葉酸摂取がいわれていますが、これは妊娠のごく初期に葉酸が不足することにより、胎児の神経管閉鎖障害の危険があるということが報告されたためです。胎児の神経管は妊娠のごく初期に形成され、脳や脊髄となっていきます。ここで何らかの障害が起きると、先天性の奇形や麻痺などを引き起こす一因となりますが、葉酸はこのリスクの軽減に役立つことが研究で明らかにされています。これらのことから妊娠を希望している女性は、葉酸の積極的な摂取を心がける必要があります。

また、葉酸はビタミンB12とともに、赤血球が正常に作られるのを助ける働きをします。さらに、葉酸はビタミンB6やB12とともに、動脈硬化の危険因子とされているホモシステインという物質を、他の物質に変換する反応を助ける働きをすることが研究により明らかにされています。

葉酸の摂取量

葉酸の1日の摂取の推奨量(ほとんどの人が必要量を満たす量)は、18歳以上の男女ともに240㎍としています。妊婦では240㎍、授乳婦では100㎍それぞれ付加量を加えます(日本人の食事摂取基準2015年版)またサプリメントなどによる大量摂取を考慮し、男女とも18~29歳で900㎍、30~69歳で1000㎍、70歳以上では900㎍の耐容上限量(過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量)が設定されています。

葉酸を多く含む食品

葉酸は、その名の通り菜の花やモロヘイヤ、ほうれん草、春菊などの葉野菜に多く含まれます。他にも、芽キャベツやブロッコリー、枝豆などの緑色の野菜やイチゴ、マンゴーなどの果物にも含まれています。葉酸を多く含む動物性食品はあまりありませんが、牛や鶏、豚のレバーには多く含まれています。これは、葉酸が細胞の増殖に関わっている栄養素であるため、細胞増殖が盛んな内臓に含まれているためです。
葉酸は光や熱に弱く酸化しやすいため、食品の保存や調理の過程で損失しやすい成分です。葉酸の損失を防ぐためには、食品の保存は冷蔵庫や冷暗所で行い、手早く調理して食べることが大切です。

欠乏について

葉酸は、通常の食事では欠乏することはほとんどありませんが、摂取量が不足すると赤血球の正常な形成がされなくなり、巨赤芽球性貧血(悪性貧血)とよばれる貧血の原因となります。特に、成長期の子どもは成長のために葉酸が多量に使われるため、巨赤芽球性貧血を起こすリスクが高まります。
また、妊娠のごく初期に母体の葉酸が不足すると、胎児の神経管閉鎖障害や無脳症を引き起こします。
葉酸が不足すると、動脈硬化の引き金になる血液中のホモシステインというアミノ酸の量が増えるため、予防のためには不足に気をつけることが大切です。

過剰摂取について

葉酸は水溶性のため、過剰に摂取されたものは排泄され体内の組織や器官に蓄積されることはなく、通常の食事からの摂取で過剰摂取による健康障害の報告はありません。しかし、サプリメントなどに使用される葉酸の成分である、プテロイルモノグルタミン酸を大量に摂取した場合に、発熱やじんましんなどの発生が報告されています。

参考文献

  • 「あたらしい栄養学」 吉田企世子・松田早苗 監修 (高橋書店)
  • 「栄養素の通になる」 上西一弘 (女子栄養大学出版部)

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