流動食  りゅうどうしょく

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定義

流動食とは食事形態の一種であり、流動体で残渣、不消化物、刺激性調味料を含まず、機械的刺激がないものです。他の食事形態に比べ、病状、食欲、消化機能、嗜好、見た目にも注意が必要な食事です。
また、経口から摂取できる流動食だけではなく、経鼻、経腸、末梢静脈、中心静脈等からの摂取も可能な濃厚流動食も流動食の一種といえます。
濃厚流動食では医師から処方される医薬品タイプと、最近ではコンビニでも販売されている食品タイプがあります。
流動食に増粘剤やゼリー剤を用い、形を整えたものをソフト食、ゼリー食といい、視覚的にも食べ物として認識しやすく、口腔内での食塊形成がしやすい食事形態もあります。
流動食は大きく分けて下記の三種類に分類されます。
普通流動食:術後や絶食後や、諸機能の低下により咀嚼ができない方 主食はお粥を作った際にできる上澄み液の重湯、具なしのスープ(ポタージュ等)、果汁、牛乳、ヨーグルト等
濃厚流動食:濃厚流動食1ml当たり1kcal以上のエネルギーを摂取できる。医薬品タイプは医師の処方に基づき使用され、食品タイプは食事の一環として
使用されます。経口からの摂取も可能で、経管栄養としても使用されます。
経腸栄養剤は天然食品を原料とした天然濃厚流動食、天然食品を人工的に処理したものからなる人工濃厚流動食があります。
特殊流動食:腎臓病における低たんぱく食や、膵炎における低脂肪食、心不全における減塩食の流動食のことです。療養食の流動食形態です。

流動食の位置付け

諸機能の低下により常食、軟食では安全に食事をすることができない方や高齢者の栄養状態の維持を目的としています。
日本人の死因第三位である肺炎の特に高齢者の肺炎では、誤嚥を発症のきっかけとする誤嚥性肺炎が多く近年問題となっています。
誤嚥とは口腔あるいは胃の内容物が気管や肺の中にはいることをいい、本来食道に入るべき食物、水分、唾液等が気道・肺に入り、肺が炎症を起こすことで発症します。(胃から内容物の逆流による誤嚥もあります。)
経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻、末梢静脈、中心静脈)と違い、食事を口から食べることで、唾液の分泌を促進し、口の筋肉だけでなく姿勢維持のため全身の筋肉も使い、全身の機能維持にもつながります。安心して見た目も楽しめる食事は、食べる楽しみ、生きる力につながります。高齢者や病気のターミナルケアにおいて、流動食はとても重要なものとなっています。

流動食の対象者

歯や口腔内に障害があり、固形物の咀嚼や嚥下がむずかしい方、術前・術後、消化器系疾患の患者が対象となります。

流動食の注意点

流動食の対象となる方は諸機能の強い低下がみられる方が多く、調理、提供、介助に細心の注意を払う必要があります。
食事には姿勢の維持等様々な筋力を使うため、体力が落ちている方では食事の途中で姿勢が崩れてしまいます。それを阻止するために嚥下したことを確認せず次々と口に食事をいれ誤嚥してしまうと肺炎のリスクが高くなってしまいます。姿勢を補助するクッションを使用するなどの工夫をし、体力や状態とエネルギー摂取量を十分に考慮する必要があります。
また、見た目や取り扱いについてもとても重要です。お盆に経腸栄養剤を乱雑において目の前に置かれてもそれが食事だと思える人は少ないはずです。お盆の上にランチョンマットを置く、通常の食事の食器の上に置くなどの配慮はとても大切なことです。
経口からの流動食では、例えば煮物を一度にミキサーにかけてしまうとすべてが一色になってしまい、なんのメニューなのかわからなくなってしまいます。にんじんやさやえんどうなど赤や緑の食材だけ別にミキサーにかけ、他の煮物のミキサーにかけたものの上にかける等のひと手間で見た目がずいぶんかわってきます。
流動食は一食当たりのエネルギー量が少ないため、長期渡って摂取する場合は栄養不足になるため、お粥に脂質パウダーを使用する、三食以外に高エネルギー量のおやつなどを取り入れるなどの工夫が必要です。
経口以外の流動食の使用は医師の指示のもと、計画的に使用する必要があります。
見落としがちなのは流動食の水分です。流動食には他の食事形態に比べ水分が多く含まれているため腎不全や心不全で水分制限がある方は特に注意が必要となります。その逆に下痢になりやすいため、下痢傾向になってしまった場合は下剤の使用等も医師に相談する必要があります。
食事を自分で摂ることができない方にとっての流動食は生きる上での重要な栄養摂取であるのと同時に、食事を摂るという行為は人間の尊厳でもあります。
それを支える介護者の負担等も十分に理解し、手作りの流動食と医師から処方されるものや市販されている流動食をうまく使用することも重要です。

参考文献

  • 日本人の食事摂取基準(2015年度版)
  • 約束食事箋の作成と献立展開のコツ(女子栄養大学栄養学部実践栄養学科教授 本田佳子編)

 

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