地中海食 ちちゅうかいしょく

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定義

地中海式食事法(地中海食)はイタリア、スペイン、フランス、ギリシャなど地中海沿岸諸国の伝統的な食事をもとにした食事法で、1958年に米・ミネソタ大学の医学者、アンセル・キース氏によって提唱されました。肉類や卵、砂糖(スイーツなど)を最低限に抑える一方、オリーブオイルや全粒穀物、ナチュラルチーズ、野菜、魚などを積極的に摂ることにより、がんや生活習慣病などの発症を予防し、健康長寿を実現しようとする食事法です。また、地中海式食事法(地中海料理)は2013年にユネスコ・世界無形文化遺産にも登録されています。

地中海式食事法の理論

アメリカ・ハーバード大学公衆衛生大学院のウォルター・ウィレット氏は、アメリカや北部ヨーロッパ諸国のたちと地中海沿岸の人たちを比較すると、地中海沿岸地域の人たちのほうが肥満や糖尿病、大腸がんなど病気の発症率が低いことに着目し、「地中海型食生活のピラミッド」として体系化しています。地中海型食生活のピラミッドとは、日々の食生活の中で、①毎日必ず摂る食材、②週に数回摂る食材、③月に数回摂取る食材、というように食生活のあり方をピラミッドの階層に例え、分かりやすく解説したものです。その内容な次のようなものです。

① 毎日欠かさず摂取すべき食材

(a)全粒粉でできたパンまたはパスタ、玄米、クスクスなどの穀物類
(b)野菜(山菜を含む)、果物、適量のワイン(グラス1~2杯程度)
(c)オリーブオイル
(d)牛乳、チーズ、ヨーグルトなど乳製品(日配品)

② 週に数回の摂取とする食材

(a)魚
(b)鶏肉
(c)オリーブ、豆類、ナッツ類
(d)じゃがいも

③ 月に数回の摂取に留める食材

(a)卵
(b)スイーツ(砂糖)
(c)肉

※(a)>(b)>(c)>(d)の順に摂取頻度が下がる

※※ここで「地中海型食生活のピラミッド」の図を挿入できれば望ましい

このように地中海型食生活のピラミッドでは、摂取する食材と頻度を細かく分類しています。この他にも毎日、適度に運動することが推奨されています。この地中海型食生活ピラミッドから分かることは、肉はほとんど食べず、積極的に魚を食べること、オリーブオイルを積極的に調理やドレッシングなどに使うこと、新鮮な野菜や豆類を毎日欠かさないことなど地中海沿岸の食生活のポイントを的確に示しています。一方、アメリカや北部ヨーロッパの西洋式食生活ではこれとは対照的に、肉やバター、ラード、鶏卵など動物性脂肪の摂取量が多く、ジャガイモなど炭水化物、砂糖を含む炭酸飲料など肥満や糖尿病など生活習慣病を助長する食生活であることが読み取れます。また、地中海式食事法は日本の伝統食である和食と共通点が多いともいえます。

地中海式食事法の実践

私たちが地中海型食生活を送るには、基本となる地中海型食生活のピラミッドに習うことになります。アメリカや北ヨーロッパの西洋式食事と比べれば、日本食との共通点も多いので、日本人にとっては比較的実践しやすい食生活のスタイルといえます。そのポイントは次の通りです。

・主食は玄米をはじめ雑穀米、五穀米など精製度が低い穀物にする
・野菜、山菜、キノコ類などビタミンや食物繊維を多く含む食材を欠かさず食べる
・肉や卵など動物性食品は月に数回程度に控える
・バターやサラダ油、コーン油などは使わず、オリーブオイルを使用する
・週に3~5回は魚を使った献立をとり入れる
・スイーツや砂糖を使った甘い食べ物はできる限り控える(月に1~2度のご褒美スイーツなどであれば可)
・お酒を飲むなら、ワインを適量にする
・食事はゆっくり時間をかけて食べる
・毎日、適度に運動する

こうした一つ一つの食習慣を実践することで、地中海型食生活のすぐれた効果を実感することができるでしょう。すべてを一度にやろうとせず、少しずつできる項目を増やしていくことが大切です。

地中海式食事法の効果

地中海式食事法は食材の栄養や働きを利用し、食生活によって日常で感じる体の不調を改善したり、生活習慣病やがんの発生を抑制したりする効果が期待できます。効果の根拠は次のようにあげられます。

・主食となる玄米(全粒穀物)の米ぬかにはγ-オリザノールが含まれ、血糖値の上昇を抑制し、糖尿病や肥満、生活習慣病を予防する効果があります。また、玄米には食物繊維が豊富で、腸の働きを活発にし、便秘の解消にもつながります。

・オリーブオイルは健康に良いオレイン酸の含有量が70%を超えており、一般的なサラダ油などよりも過酸化脂質を生じさせにくい性質があります。ポリフェノールやビタミンAの含有量が高く、コレステロール値を正常に保ち、動脈硬化を防ぐ働きがあります。また、オリーブオイルは「天然の下剤」ともいわれ、腸内環境を整え、お通じを改善する効果があります。さらに大腸がんの発生を抑制する効果も期待されています。

・魚(特に青魚)に含まれるEPA、DHAにはLDL(悪玉)コレステロールを減少させ、HDL(善玉)コレステロールを増加させる働きがあります。血液をサラサラにして動脈硬化を予防します。また、脳の記憶力や判断力を向上させ、アルツハイマー型認知症の予防にも効果があると考えられています。

・赤ワインには高い抗酸化作用があり、体内の活性酸素を除去することにより糖尿病や動脈硬化など生活習慣病を予防し、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などを予防する効果があります。

また、ワインポリフェノールの一つレスベラトロールには寿命を司るサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)を活性化させ、老化を防止し健康寿命を長くする働きがあります。肉食中心のフランス北部の人でも、比較的長寿な人が多いのはフレンチパラドクスといわれ、レスベラトロールの効果が影響していると考えられます。地中海式食事法では肉を食べる頻度が少なく、月に1~2回程度としています。現代の日本人の食生活も肉類や肉の脂(トランス脂肪酸)など動物性脂肪を摂りすぎる傾向があり、動脈硬化による狭心症や心筋梗塞、戦前には少なかった大腸がんなどが急増している原因となっています。肉を食べる頻度が少ない地中海式食事法は、日本人の古来からの食生活、食文化に近いものともいえるでしょう。

注意点

・果物はできるだけ毎日食べますが、カロリーが高いので少量ずつ分けて食べましょう。
・全粒粉のパンやパスタ、シリアルなどを利用する場合は、体質によってはグルテン(小麦)アレルギーが起こる場合があるので注意して下さい。
・ワインは1~2杯が適量で、多く飲みすぎると逆効果になります。ほどほどにしましょう。
・持病などで医師の治療を受けている場合は、必ず医師と相談してから行って下さい。

参考文献

 

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