エネルギーコントロール食 えねるぎーこんとろーるしょく

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エネルギーコントロール食とは

医師の診断により、摂取エネルギー量の調整が必要とされた方に対して提供される治療食のことをいいます。ほとんどの場合、各個人の病態や栄養状態、身体活動量などから標準体重を用いて必要エネルギー量が算定されます。三大栄養素(たんぱく質・脂質・糖質)の割合はそれぞれ、摂取エネルギー量(kcal)に対して15:25:60の値で設定されており、たんぱく質は筋肉などの体たんぱく質の減少を予防するため、標準体重(kg)あたり1.0〜1.2gを確保し、脂質は摂取エネルギー量(kcal)に対して20〜30%の範囲とし、残りを糖質から摂取できるように調整されています。
一般にエネルギーコントロール食とは、低エネルギー食のことをいう場合が多いです。

適応疾患

1)肥満・過栄養性脂肪肝
エネルギー摂取量(kcal)がエネルギー消費量(kcal)を上回っている状態であるため、低エネルギー食を摂取することにより、体内でのエネルギー不足状態を作り出し、体脂肪の分解を亢進させて脂肪代謝の改善を改善させる必要があります。また、三大栄養素(たんぱく質・脂質・糖質)の摂取バランスが崩れていることも多くみられるため、食生活の是正を図ります。過度なエネルギーコントロールは、たんぱく質やビタミン、ミネラルの不足を引き起こす恐れがあるため、緩やかなコントロールによる改善を目指します。

〇エネルギーの目安量(kcal)
肥満:800〜1600
過栄養性脂肪肝:1400〜1800

2)糖尿病

インスリン非依存型糖尿病(2型糖尿病)の場合は、過食や運動不足、ストレスなどから内臓脂肪が蓄積してインスリン抵抗性を起こしていることが多いため、エネルギーコントロール食の摂取により内臓脂肪の減少を図り、体重コントロールによってインスリンの感受性を高め、インスリン抵抗性を改善する必要があります。また、低血糖症状を引き起こさないように少量を頻回摂取するなど注意が必要です。

〇エネルギーの目安量(kcal)
糖尿病:1200〜1800

3)脂質異常症
わが国では、生活の欧米化による運動不足や食生活の変化などから増加している疾病です。薬物療法のよるコントロールの方法もありますが、治療の基本は食事療法と運動療法です。特に、中性脂肪が高値を示し総エネルギーと糖質、アルコールの制限などの食事療法の効果が高い脂質異常症Ⅳ型では、エネルギーコントロール食の摂取が有効です。その他、コレステロールの制限や食物繊維、抗酸化ビタミンの摂取、アルコール摂取量の適正化なども併せて行います。

〇エネルギーの目安量(kcal)
脂質異常症Ⅳ型:1400〜1800

4)高尿酸血症(痛風)
高尿酸血症は、肥満、脂質異常症、糖尿病、高血圧症などの生活習慣病を合併することが多く、特に内臓脂肪の蓄積(メタボリックシンドローム)による肥満が多くみられます。肥満度や体脂肪率と尿酸値の間には関連がみられ、減量により尿酸値が低下することが知られています。これらのことから、エネルギーコントロール食により摂取エネルギー量を適正化し、減量と体脂肪率の低下を図ることが有効です。その他、プリン体の元となるたんぱく質の過剰摂取を防ぐことや、プリン体摂取量の抑制、アルコール摂取量の制限、脂質摂取量の制限、水分を多く摂取することなども併せて行います。
 
〇エネルギーの目安量(kcal)
高尿酸血症(痛風):1600〜1800

5)高血圧
高血圧とは血圧の高い状態をいいますが、一つの疾患というよりは様々な疾患(心疾患・脳血管疾患・腎疾患など)のリスクを高める因子の一つとしてとらえられています。高血圧は、様々な疾患と併せて生じる「二次性高血圧」と、他の疾患を伴わない「本態性高血圧」に分けられ、本態性高血圧は全体の90%以上を占めています。特に本態性高血圧は、塩分の過剰摂取や肥満などの食習慣も因子としてあげられ、その治療としては栄養管理が最も重要とされています。食事療法としては、食塩摂取量の制限と、肥満者において高血圧を合併していることが多いため、エネルギーコントロール食の摂取による肥満の改善を併せて行います。

〇エネルギーの目安量(kcal)
高血圧:1600〜2000

6)心臓病
肥満を伴う心臓病(狭心症・心筋梗塞など)は、エネルギーコントロール食の摂取により体重を減少させることで、体内の循環血流量が減少し心臓の負担が軽くなることが知られています。また、末梢血管の抵抗性を改善させます。また、狭心症や心筋梗塞の原因となる動脈硬化症のリスクを減少させる上でも、エネルギーコントロール食による摂取エネルギー量の調節は有効です。

〇エネルギーの目安量(kcal)
心臓病:1400〜2000

7)妊娠高血圧症候群
妊娠20週以降、分娩後12週までに高血圧がみられる、または高血圧にタンパク尿を伴う場合のいずれかで、これらが妊娠による偶発的な症状ではないものを妊娠高血圧症候群といいます。子宮内胎児発育遅延や、子宮内胎児死亡などが発生しやすく、新生児仮死や脳症なども引き起こします。肥満女性に多く、妊娠中の体重増加が多いと発症しやすくなるため、妊娠中や妊娠前からの体重コントロールが必要とされる場合には、治療としてエネルギーコントロール食の摂取と減塩を行います。

〇エネルギーの目安量(kcal)
妊娠高血圧症候群:1600〜1800

参考文献

  • 栄養科学シリーズ NEXT 臨床栄養学 第2版   武田英二・中坊幸弘・竹谷豊 編    講談社
  • 栄養ケア・マネジメント論 経済学からみた栄養管理    福井富穂 編著   化学同人

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