⑩ 前立腺がんは生活習慣病

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【Dr.大友とDr.小池の対談動画はこちらをclick】

Dr.大友
渋谷セントラルクリニック エグゼクティブディレクター
 
進行性前立腺がんって顔つきが悪くてその前立腺の外から出て行ってしまったり他の所に転移してしまうようなもの。

Dr.小池
JR東京総合病院 泌尿器科部長
そうですね。

Dr.大友
そうした進行性の前立腺がんがある一方で、進行していない前立腺がんは色々な経過が長いんですね。進行性ではない前立腺がんには新しい考え方もあるっていう話ですが。

Dr.小池
そうですね。前立腺がんの診断は必ずPSAと前立腺針生検というものをして

Dr.大友 
PSA、腫瘍マーカーですね。

Dr.小池
針生検というのは前立腺を刺して組織を取ってくる。そこでがんが無いかどうか診るという検査なんですけども。そこでもし前立腺がんの顔つきがそんなに悪くなくて、がんの腫瘍の体積が少ない場合は何もしないでPSAだけを見て経過を診るという治療があります。

Dr.大友
がんがあるのに治療をしない。

Dr.小池
そうなんです。

Dr.大友
それは何か他のがんには無い、ちょっと特殊な考え方ですね。

Dr.小池
無治療経過観察と言いまして何もしないわけではないんですけども。
定期的にPSAを採取して、1年、3年、といった形で前立腺針生検をしていって、がんの大きさがちゃんと同じなのかを確認したり、あるいはどんどん増えてきたら治療介入するという治療法になります。

Dr.大友
なるほど。何かちょっと生活習慣病みたいですね。

Dr.小池
そうですね。

Dr.大友
血圧だったり高脂血症を診ながら悪くなっていないかを診ていくみたいな。

Dr.小池
そうですね。

Dr.大友
先ほどの話だと割とその欧米型って言われているようなライフスタイルをしていると、本当に生活習慣病みたい悪くなっちゃうんですか。

Dr.小池
先ほどお話したようなお食事を摂ることによって、その治療介入までの手術なり放射線なりまでの期間を延長できる可能性はあるかもしれません。

Dr.大友
大きくなっていったら、やっぱり手術だったり、放射線治療をしなければいけない。

Dr.小池
そうですね。放射線。

Dr.大友
どうしたら、いいですか。

Dr.小池
やはりライフスタイルが重要というお話を先ほどしました。
トマトとか、大豆とか、先ほど言ったそういったもの、つまり前立腺がんの大きさの進行を少しでも抑える可能性があるお食事を摂る事によって、なるべく手術しない、放射線をしないというような期間が長くできるということが日常生活を送る上で非常にみなさんにとってもいいかなという風に思いますけどね

Dr.大友
もう、とっとと手術しちゃって、と言う人もいると思うんですけど。

Dr.小池
はい。

Dr.大友
昔は前立腺の手術って結構大変な手術で。今はだんだん出血しなくなってきているとは思うんですけど。
手術しないことってライフスタイルに何かいいQOL(生活の質)を上げるんですか?

Dr.小池
そうですね。今、前立腺がんの手術はだいぶロボットの時代になってきまして非常に合併症も少なくなってきましたけどね。

Dr.大友
例えばどんな合併症が?

Dr.小池
尿失禁、あるいはEDですね。問題は。

Dr.大友
尿失禁ってのは、尿が漏れてしまう。

Dr.小池
EDはいわゆる勃起障害。やはり以前よりはかなり少なくなったとは言え絶対ないとは言い切れませんので。

Dr.大友
合併症が起きてしまう可能性がある。昔の手術に比べたら少ないけれど。

Dr.小池
少ないけれども、そうですね。そういったことを予防する為には、やはり手術しないにこしたことはないですから。

Dr.大友
なるほど。

Dr.小池
そういった手術をしなくてもいい期間を長くできるということが非常に重要じゃないかな、と思いますけどね。

Dr.大友
放射線だと、どうですか。どんな合併症。

Dr.小池
放射線は前立腺だけに放射線当てるとかはなかなか難しいので、膀胱なり直腸なりに放射線が当たってしまうと血尿になってしまったりとか。

Dr.大友
血尿とは、おしっこに血が混じっちゃったり。

Dr.小池
あと、お小水の回数が増えてしまったり。そういった合併症はあります。

Dr.大友
なるほど。いくつぐらいまで手術できるんですか?だんだん昔に比べてお年をめしても手術をする時代になっていますけども。

Dr.小池
昔は70歳が一つの目安だったんですけども。最近はもう本当に技術の進行と、あとやはり非常に元気な方が増えていますので75歳くらいまでは普通に手術の対象になってくると思いますけれども。

Dr.大友
前立腺がんは、ライフスタイルだったり、お食事だったり、運動だったりところが関係している、どちらかと言うとライフスタイル病みたいなところがあるので、PSAだったり、そのサイズを見ながら経過観察をしていく。腫瘍があっても。

Dr.小池
そうですね、一つのアイデアになってきているという事ですね。

Dr.大友
それは非常新しい考え方ですね。

Dr.小池
はい。

Dr.大友
共に生きる。みたいな。

Dr.小池
そうですね。共に生きるということですね。

 

大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)

免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほど鍼治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。

またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。

小池祐介 JR東京総合病院泌尿器科部長
日本泌尿器科学会専門医指導医、泌尿器腹腔鏡技術認定医、日本排尿機能学会認定医、がん治療認定医、日本臨床腎移植学会腎移植認定医

趣味は90年代洋楽ロック鑑賞となかなか上手くならないゴルフ

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